ご挨拶

 

この25年の間に、世界のコミュニケーションの地図は、大きく変貌してしまった。アナログからデジタルに、固定式から移動式に。インターネットと携帯電話、テレビジョンの発達と進化により、世界は一瞬にして繋がり、そして、人と人とのコミュニケーションもいつでもどこでも繋がれるようになってしまった。全く、便利な世の中になったものだと思う。

その反面、人と人とのコミュニケーション能力は、道具の進化とは裏腹に、どんどん退化してきているのではないだろうか。言語コミュニケーションだけをとっても、字面だけのコミュニケーションだけでは、気持ちを乗せるアクセントもイントネーションも全く消え去ってしまうばかりか、相手の今の気持ち次第で、良いようにも悪いようにも自在に受け取られてしまう。

大抵の物は、インターネットで注文できて、それを宅配便で届けてもらえる。それも、大体24時間以内が可能な世界になっているのである。そこには、人と人とのラポールというよりも、PCや携帯画面とのラポールに時間を奪われる時代になっているのである。

子どもの遊びも、デジタル化しており、すれ違い通信のように、相手が誰だか分からないまま、お互いの偽名だけが行き交うようになってしまった。バーチャルな世界に夜中浸りきり、筋肉が委縮し、歩くのもままならぬまで、熱中する青年や老年まで出てきている。

私たちは、その最中に生きているし、私たちの後を継ぐ後輩や子どもたちは、その現実にさらに直面させられることは間違いない。

医療、福祉、教育の世界に働く人たちは、その中でコミュニケーションを求められる。それは、バーチャルでもなく、偽名を名乗ることもできず、ただただ、コミュニケーションに疎くなった人たちとコミュニケーションしていかなくてはならぬ矛盾に晒され、疲れ切り、現場から離れて行く人が急増している。

今こそ、コミュニケーションの再興を図りたいと医療、福祉、教育のコミュニケーションの振興を図る法人を立ち上げようと決意している。多くの方が賛同してくださることを祈りつつ。

 

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